(これは〔好奇心は災いの元〕の続きです) 壊れたものは戻らない くっつけたって ヒビはヒビ あとはこぼれて 増えるだけ それを 踏みつける勇気はある? [ Couldn't put Humpty together again ] どんよりとした空。濁る足元。 天気予報では午後から雨らしい。 霧なのか小雨なのか。纏わり付く水分は 私を責めているようだ 今朝起きたら、雛が一羽死んでいた。 生まれたばかりで暖かくてかわいくてしょうがない そんな小さな命は消えていて 毛は抜け落ち筋肉は強張り目は焦点を持ち合わせていない ちっぽけな 亡骸 ただ居た堪れなくて、私は牧場を逃げ出した なんで なんで なんで 私の何がいけなかったの 私は一生懸命愛していたつもりだったのに 昨日までは普通だったわ 直ぐ隣にあった筈 それが何故 皹入る煉瓦に浸み込む雨水 いつの間にか周りは土砂降り 全て動かないで 全てじっとしていて 私の目に入らないでいて 私の思考に混じらないで ただ消えていくだけなのならば 雨水で服がべたりと張り付いて 広場のベンチにぺたりと座り込んで 泣いてもいないのに頬を伝うものがあって なんだかからっぽ 「… ァさん!!」 きっとバシャバシャと音をたてて走ってきたんだろう 黒い服をますます黒くさせて、申し訳程度の傘を差して 私の上方の雨はやんだ 「どうして…」 尋常ではない私を見下ろす二つの眼 ああ神父様 そんな目で見ないでください あなたは罪を許してくれるためにいるんでしょう? でもあなたのせいで私の罪状は 「教会に行きませんか?クレアさん」 ゆっくりと手首をつかむ慈愛の手 力はいれずにゆっくり引かれて 引力とその意思に立たされてしまった 「行きましょう?」 行かないと言わせる気もないくせに ― ・ ― ・ ― ・ ― 「タオルとってきますから、待っていてください」 そう言い残すと、カーターさんは奥のほうに消えていった。 講堂はいつもより薄暗い。雨の影が光を遮っている。 造りがしっかりしているのか、小雨程度の音しか響いてこない。 ずぶ濡れの私から水が滴る 歩くたびに どこか濡れていく じわじわと水溜りが広がり 椅子も絨毯も壁も机も 私からの水を吸って 私から 汚れが 「難しい顔ですね」 視界が白一色に染まった。 わしゃわしゃと動かされるそれから垣間見える、八の字眉毛の笑顔。 「眉間のしわを伸ばすアイロンは、生憎持ってないんですが」 ふわりと肩にかけられるタオル。 「私は神父。人の荷物を分けていただくのが仕事です」 私を椅子に座らせて、その正面に椅子を運ぶ 「なにか、私に出来ることは?」 すとんと座ってにっこり笑う。 その瞬間 ぷつりと 私の中で何かが切れた 「何でも聞いていただけるのでしょうか」 「ええ」 「私から何が出るかわかりませんよ」 「そうですね」 「わたしは罪人です」 「人は誰しも罪を犯しているものです」 「きっと神様も私の罪は許しはしません」 「そんなことはありません。神様は悔いることで全てを許してくださいますよ」 「そんなことをあなたに言って欲しい訳じゃありません!」 音響効果抜群の講堂で私の声がわんと響く びっくりしたよね。ごめんなさい ごめんなさい 「…なんでも、聞いて、下さるんですよね」 ごめんなさい 「私の罪はこれからもきっと続きます」 ねえこれを言ってもあなたは 「悔いるつもりもありません」 笑っていられるかしら 「私の罪は」 でも 折れることはないの 「あなたを愛していること」 凍りついたあなたの笑顔も きっと穴が開くほど見つめていられる ― ・ ― ・ ― ・ ― 続きが降って湧きました。 暗いの続きですねー。えぇ。このあとも暗くなること請け合いですね。 私カークレはほのぼの推奨です(矛盾が お蔭で書きづらくて仕様が無い(矛盾が 最後は明るくしたいなー…。 2006.4.8